6EM7シングルアンプ

6EM7はTV用双三極管で第2ユニットのプレート損失は10Wです。コインベースのこのズングリした丸っこい形が気に入って思い立ちました。双三極管なので純な三極管の音を聞けるとの期待もあります。
製作当初帯域の狭いプアーな音でしたが、定数変更等チューニングして行ってまともな音になりました。聞きやすい素直な音です。欲を言えば高音が少し足りないかな、押し出しがをもう一頑張りかな、と思いますが、十分満足出来る合格点の音です。ボーカルが良いです。

ゲインについて

回路図にあるように現在の初段直流負荷抵抗は27KΩです。出力段グリッド抵抗が470KΩなので交流負荷は25.5KΩです。この時2Vpp/1KHzの初段グリッド入力で出力段グリッド値が52Vppでした。26倍のゲインです。
電圧利得=μxRL/(RL+rp)=68x25.5K/(25.5K+40K)=26.4で実測値とほぼ一致します。
2Vppなので0.7Vrmsですが2Vに意味はありません。オシロでその時見易かっただけです。ちなみに テストCDの1KHz/0dBを再生して、100kΩ負荷時の波形をオシロで見ると、5.76Vppでした。つまり約2Vrmsです。結構高いですね。2Vrms=5.66Vpp,これを最大入力とみなすと初段のバイアスは5.66/2/+0.7=3.53、無帰還として3.5Vになりますがそこまで使う事は無いので2Vをバイアスに設定しています。

なぜいきなり初段のゲインの話かと言うと、当初ドライバー段の負荷抵抗はCRDにしていました。この時実測で電圧利得は60になっていました。データシートではμ=68なのでほぼ無限大時=μ値です。しかし音は平板的でベールがかかったような音でした。f特は2KHz位からダラ下りです。それならばとNFB(オーバオールの)をかけてみましたが改善されません。(元々全体のゲインが無いのでせいぜい6dB程ですが。)先のCD入力が最大入力あったとすると5.66Vpp x60=340Vppですから不必要に利得が高い事が判明しました。出力段は50Vppあれば十分です。そこでCRDを抵抗に変えてゲインを下げた次第です。

効果は絶大で、ガラリと音が変わりました。聞き疲れの無い音です。f特25Hz~80KHz(-3dB,2.8Vpp入力,8Ω抵抗負荷)です。本当に80KHzかどうか測り間違いかと思う位です。15KHz位から下り始めています。ダラ下りでその辺は高域が少し足りなく感じるところと思います。しかしこれはこれでいい感じの音なのでNFBをかけ無くても良いでしょう。
f特を測ると左右でレベル差がありましたが、聞いた感じではそれ程でも無いのでそのままにしてあります。後で真空管を入れ換えて少し差が減った方向と思いますがこれのf特は測っていません。
入出力特性を読み取ると大体2W程度の出力でしょうか。グラフの両端は測定していませんが元データが残っていて跳ね上がっています。これは無視してください。
f特も入出力特性も測定はオシロスコープの電圧値を直読なのでそれなりの誤差があります。

FETリップルフィルター

リップルフィルターにFETを使用しました。極力電位差を小さくしましたがそれでも熱くなるのでシャーシ放熱にしました。トランジスタに適当な物が見つからなかったのでFETにしています。2SK1351(日立)は廃番で代替は2SK2662になります。スピーカに耳を近づけてかすかにハム音が聞こえる程度です。
このFETとレギュレータの317と、ドロップ用抵抗も発熱しますので全てシャーシ放熱しています。その為フルモールドのFETですし、NJM317(JRC)もフルモールドを使用しました。シャーシが熱くなりますが触れる程度なので大丈夫でしょう。真空管ソケットをスペーサで下げて放熱用の隙間を作っています。気休め程度ですが。

出力段の交流ループ

出力段はNJM317による定電流のセルフバイアスです。その為電解コンデンサで交流ループを作成しました。これはぺるけさんのHPを参照しています。この電解コンデンサに10uF/630Vのフィルムコンデンサをパラにすると音が変わりました。カッチリとした感じです。パラにしたのは電解を外すのが面倒だったからで、それでも効果ありです。しかしこのフィルムはでか過ぎるので結局0.33uFを気分で付けています。回路図が100uF//0.33uFとなっているのはその実験の名残です。カップリングコンデンサを変えると音が変わるのと同じ事なのでしょうね。(変わるらしい...私の耳では解らなかった。)
電源トランスの前方をiPodを置く為のスペースにする予定でしたが、ドックのケーブルが邪魔で納まりませんでした。iPodを借りて繋いで見ましたがつまらない音でした。多分圧縮がディフォルトのままできつくかけてあるのでしょう。iPod自体のD/Aは?なので何とも言えません。圧縮をかけずに録音/再生でどうなるか、は今回止めました。

使用部品について

真空管
GE製6EM7
電源トランス
ノグチ PMC-100M
出力トランス
ノグチ PMF-6W
三端子レギュレータ
NJM317(フルモールド品)
シャーシ
ノグチトランスの角穴のみ開いた物に追加工

6LU8は電圧部3極管、電力部5極管の複合管になっています。TV球です。このアンプでは三結で使用しています。三結時のEp-Ip特性グラフはMJ誌2005/11月号の"真空管活用ガイド"を参照しました。スクリーングリッド電圧がmax300Vなので動作点を290Vとしています。このときEg=-40V,Ip=40mAとこのグラフから読み取れます。制作後の測定ではEp=290V,Ip=38mA,Eg=-43Vとなりました。使用したのはGE製で記事の物と違いますが大差はないようです。この時のプレート損失は11Wなので最大定格の14Wに対してまだ余裕があります。

初段は12AU7をパラレルで使っています。ゲインは5倍で軽く増幅しています。オーバオールNFBも少なく気持ちだけで3.4dB程です。この時初段のゲインは3倍になります。反転増幅段は6LU8の3極部になります。負荷抵抗を18KΩと低くしてここもゲインをかせいでいません。ここだけで約16倍です。後でNFBを多くかけて周波数特性を良くするのでは無く、ゲインを下げて帯域を広げて周波数特性を良くしようと考えています。回路図はpdfファイルなのでクリックしてpdfを表示して拡大して見てください。

出力段は6LU8の五極部を三結にして使っています。固定バイアスになります。グリッドに直列抵抗は入れていません。この抵抗は寄生発振を止める物なので無くても構わないでしょう。複合管で配線が込み入ってしまって横着で入れていません。6LU8のスクリーングリッド電圧は300V定格なのでこれに合わせてプレート電圧を決めています。

6EM7シングルアンプ

6EM7seアンプ

シャーシは白色ラッカー塗装です。

6EM7seアンプの配線の様子

6EM7seアンプの配線の様子

P板に電源部をまとめています。

6EM7seアンプの拡大

6EM7seアンプを拡大撮影

ヒーティング中の拡大写真です。

6EM7seアンプの周波数特性

6EM7seアンプのf特

周波数特性です。クリックすると拡大します。

6EM7seアンプの入出力特性

6EM7seアンプの入出力特性

クリックすると拡大表示します。

iPodを接続

iPodを接続の様子

iPodを接続した状況を写してみました。